視界がだんだん揺らいできて、
あたしの景色をぼかしてく。
秋の冷たい風が、
あたしの頬を叩く。
「俺は、アンタの言葉は嫌いじゃないよ」
不意に風に乗って聞こえた、
譲輝くんの小さな声。
俯いていた顔を、
譲輝くんへとやる。
「素直で、まっすぐで、
眩しいぐらいに綺麗なんだ。
人が言いにくいと思うことを、
なんでも簡単に言ってしまう。
だから、聞く人によっては
時々目を塞ぎたくなる。
でもアンタが見放さないで、
ずっと語りかけてやればきっとアンタを見てくれるよ」
“見てくれる”。
その言葉が、
胸に刺さった矢を溶かしてくれた。
「きっと大丈夫。
アンタの言葉は、親父さんに届いてるよ」
眼の奥が、ジンと熱くなる。