しばらく歩いた。 そして、願うほどに思った。 “譲輝くん、ここにいて。” 願いが願いで終わらないように。 そして――――――。 「見つけた」 いつものようにどっかりベンチに座り、 開かれた眼は眠そうで、 黒縁メガネを上げた姿。 「譲輝くん・・・・・・・」 ゆっくりと譲輝くんへ向かい、 譲輝くんの正面に立つ。 びっくりした顔のあと、 悲しく歪んだ譲輝くんの顔。 「久しぶり、だね、なんか」 「ん・・・・・・」