「お願い! 離して!!」


「ダメだよ! ちゃんと話さなきゃ!」


「あたしはっ!」




勢い良く手を振り払い、
自由になった右手を左手で握る。




「あたしは、譲輝くんに酷いことした!
もうあたしは譲輝くんのそばにいちゃいけないの!」




あのときの譲輝くんの顔が、
また頭に浮かんでくる。



やめて。

そんな顔しないで。



笑っていてよ。あたしの、





――――大好きな笑顔で。





眼に涙がたまって、
情けないったらありゃしない。



乱暴に涙を拭って、
もう1度斎藤君を見た時。




スカートのポケットに入れていた携帯が、
あたしの太ももの上で震えた。




無視しようと思ってたんだけど、
「急用だったらダメだから」なんて斎藤君が言うから。




携帯を手にとって、
受信メールを開く。