「菜子ちゃんは、
譲輝が菜子ちゃんを嫌ったと思ってるけど。

ほんとは、そんなんじゃないよ。
ただショックだっただけ」




止めていた歩み。


つかつかあたしの元へ来て、
朝のようにまた腕を掴む。




「菜子ちゃんだから、
ショックだったんじゃないの?」




そう言うとともに、
あたしを引っ張って歩き出す。




「ちょ、ちょっと! 何!?」


「どこ? 譲輝と会ってたとこ」


「何でそんなこと聞くの!?」


「決まってんじゃん。行くから」




その言葉に、
眼を見開かせ足を踏ん張る。



やだ。行きたくない。




“あの場所”には、
行きたくないよ・・・・・・・



譲輝くんがいないことを知っているのに、
あそこには行きたくなかった。






だって行ったら、
楽しかった記憶が頭の中を占領する。