楽しそうに笑って、
そのままあたしに向けた指を下げた。







ちょっと待って。


何で譲輝くんがそんなこと思ってるの?


譲輝くんは、
何1つ悪いことしてないじゃん・・・・・・




固まるあたしを知ってか知らずか、
斉藤君はそのまま続ける。




「譲輝が俺に悩み相談なんか初めてでさ。
俺、ちょっと嬉しいんだ。

俺が出来ることぐらいは、
しゃーないし手伝ってやろうと思って」




「譲輝くんは、何も悪くないの。
あたしが、譲輝くんを傷つけた・・・・・・」





1番触れてはならないはずの傷に、
事情を知ったあたしが触れた。



“ごねんなさい”なんて、
そんな言葉じゃたりない。




きっと何をしても、
許されることじゃない――――。





俯くあたしに、
斉藤君の声が振ってくる。




「菜子ちゃんわかってないよ」



さっきまでのお茶らけた声じゃない。

真剣なその瞳は、
まっすぐあたしを捕らえてた。