「警察だ!動くな!」
よく響く女の人の声で、警察官と思しき人が入ってきた。
男達は、あれよあれよという間に、捕まっていった。
他人事のように、見ていた私に気づいたその人は、私の元へ駆け寄ってきた。
「美空…ちゃん?」
何故か、私の名前を知っていた。
不思議に思いながらも、小さく頷いた。
そしたら、その人は私を抱き締めようとした…んだと思う。
…でもね、私は逃げた。
怖いとかそんな次元じゃない。
誰も信用したくないから、誰にも頼らないって思ってたから。
たとえ、警察の人でも受け入れられなかった。
ただ、首を横に振るしかしない私を見て、その人は何も言わなかった。