「やだ…やだよ!施設になんて戻らない!」
声を限りに、叫んだ。
誰が見てるとか、そういう事も気にせず、ただ嫌で。
自由のない生活は、今の無機質な退屈な生活よりも嫌だ。
「黙れっ!さあ、行くぞ」
ぐっと、腕を掴まれてそのまま車へと乗せられた。
先生とは違う、黒い車。
タバコの匂いが鼻につく。
車はそのまま、走り進む。
もう、駄目だ。
私が、連れて来られたその場所は、思ったより普通で。
何よりも、施設じゃなかった。
ごく普通一軒家。
…でも、これは悪夢の始まり。
そして、終わらない苦しみの始まり。
私の破滅が迫ってくることに、気付いてないのは、私自身だけだった。