「琴美さん、どうしてそれ持ってるんですか?」



『桜色の春』を指差して、私は聞いた。
私が気になっていた疑問をようやく口にした。






「美空ちゃんにあげようかなってさ。でも、これ譲るわよ。1つあれば、取り合わなくていいでしょ?」
















琴美さんの言葉に、死守していたそれをさっさと放した。
ありがとうございます!と言ってから、いそいそとそれを手にレジに向かったのだった。
それをポカンと見つめる先生と、周りにいた人々。
感動の再会は、空気の読めない私によって壊され、誰もが違う意味で涙したのは言うまでもない。














本当に…おしまい