「あんた!

私と約束したこと

まだ分かってないみたいね?」


奥の壁ぎわに小さくなる私

私と出口の間を塞ぐようにして

仁王立ちのさやか。

背の高いさやかに見下ろされて

私は何も悪いことしてないのにって思っても

つい

たじろいでしまって

言い返せない。


(かおるーっ

逃げるんだぞーっ

殴られるぞーっ)


天使は、

あろうことか女子トイレの中までついてくるし

トイレの天井あたりで

わたわた飛び回ってるし…


「あーーー、もう!

あんたは黙ってなさいって!

私は何も悪くないんだし!

さやかに私を殴る権利なんてないんだから!」