『子供さん、何歳?』
メモ帳にそう書いて見せた。
「1歳2ヶ月。女の子で名前は寧々(ネネ)っていうの」
『そうなんだ~。吉川さんがママかぁ……』
「意外でしょ?」
『ううん。5年前の吉川さんしか知らないから、何か不思議な感じがして……』
「そうだよね……」
吉川さんはそう言うと、遠くを見つめた。
何だろう……。
何か切ない顔してる。
あの頃の……5年前の強気な感じの彼女からは想像できない。
私は吉川さんの肩をポンポンと叩いた。
「ん?」
彼女がこっちを向く。
『何かあった?』
「どうして?」
『何となく……』
メモ帳に書かれてる言葉を見て、彼女は肩をすくめて笑った。