『坂下さん、藤岡さん、
そろそろお時間ですので
退室を……』


看護婦が言う。


『……あぁ…』


お父さんは泣き疲れた顔で
返事をした。



「……………美依…」


俺はまだ
名前を呼ぶ。



『…藤岡君、出よう。』


「美依が…寂しいって…」


『明日からについて、
話そう。』



美依のいない、
"明日"



美依のいない、
"これから"



━━━考えられなかった。