昔は…つい一年くらい前
までは、看護師だった。


介護施設で看護師を勤め
て、昼間の給料をメイン
に生活してた。


お年寄りが好き、憧れ続
けてやっと掴んだ看護師
って仕事。


「天職だと思ってます」


面接でそう言い切るくら
い、大切な仕事だった。


別れた旦那である元康と
も、この仕事を通して知
りあった。


ただ、娘の楓が生まれて
離婚して…全部おかしく
なった。


「会社の都合にそえない
なら、辞めてくれません
か。」


主任に言われた一言が、
あたしの全てを『無』に
した瞬間だった。


白衣を脱いだ自分なんか
何の意味も無い。


楓を恨む訳じゃない。


むしろ、楓を否定された
気がして。


そのまま水商売に染まっ
た。


この町にいる人たちは、
競い合う。


自分を見てくれと競い合
う。


それが心地良くなってし
まったの。