淳平はクスッと笑うと、
「かわいいこと言うね」
と、言った。

フワリと、あたしの頭のうえに淳平の大きな手が乗ったかと思ったら、あたしの髪をクシャクシャにした。

「けど、俺の方が何倍も上だから」

ニヤリと、イジワルそうに笑う淳平は見かけに寄らずS系かも知れない。

「じゃ、ディナー行こうか」

淳平の手が頭から離れたと思ったら手を握られて、引っ張られた。

「ちょっと、引っ張らないでよ…」

「んっ、ごめんね」

淳平はまたニヤリと笑った。

うーむ、これは大人の余裕と言うヤツなのだろうか?


会社から少し歩くと、
「ここ?」

「そ、ここ」

目の前の店を見あげると、パスタ専門店だった。

「知らなかった…」

呟くように、あたしは言った。