「見かけない顔だなって思って」

「僕、バイトとして今週から入ってきたばかりなんです」

「バイト?」

「岡本奏(オカモトソウ)です、18です」

「そう?」

「奏でると言う字で」

あ、奏ね。

「18って、大学生なの?」

「はい」

岡本くんが首を縦に振ってうなずいた。

「ふーん、そうなの」

大学生って若いなと思うあたしは、おばちゃんになったと思った。

「あの、お名前は?」

「あたし?

堺彩花、22よ」

「さやか?」

「色彩の“彩”に、花火の“花”で、彩花」

「わかりました…」

岡本くんの顔が、何故だか青くなった。

「どうしたの?」

「う、後ろ…」

「えっ?」

岡本くんに言われて、あたしは振り返った。