「って言うか、姉貴に彼氏がいるとなると大変なことになるな」

智恭はため息をついた。

「いると知ったら、親父のヤツはぶっ倒れて病院行きだ」

呆れ顔で後頭部をかきながら、智恭が言った。

「お父さん、厳しいのか?」

淳平が聞いてきた。

「厳しい、って言うのかな?」

たまーに雷が落ちると怖い程度だけど、厳しいのかどうなんだか。

「姉貴、今度の休みに兄貴を連れて実家に帰ってこい」

智恭が言った。

「えっ、ちょと待て!?

それって…」

「いわゆる、ごあいさつってヤツだろ?

それとも何だ、隠して駆け落ちでもするつもり?」

駆け落ちって…あなたは、一体何を考えているんですか。

我が弟ながら恐ろしい子。

「久々に顔を見せたら?

お盆も正月も帰ってこなかったんだから」

それを言うのかと、あたしは心の中でツッコミを入れた。