何もないはずなのに、あたしはどうして尾崎くんと二人きりで保健室に居るんだろう?


「えっと……尾崎くん?」

「………」


保健室を出ようとしたあたしの腕を掴み、連れ戻された。
ずっと黙ったままの尾崎くん。


「あの手、放し…」


放して、そう言う前にあたしの言葉は遮られた。
尾崎くんはあたしの顔の両側に手をついて、逃げられないようにした。


「あっあの…!」

「なぁ、俺の女になれ」

「…………はっ?」