「放して〜!!!」

「暴れんなっ!」


廊下に響き渡るあたし達の声。
今は、体育館で全校集会が開かれていて、校内には誰もいない。
……多分。

暴れに暴れまくって、どうしても降ろしてくれなかった彼が、急に立ち止まりあたしをそっと降ろした。
着いたのは、保健室だった。


「…ひざ、ケガしてんだろ」

「え?」


さっき転んだ時にか、ひざを擦りむいていたようだった。
彼は扉を開けると無言で椅子に座った。


「……あの、」

「俺、手当てとかできねーからな」


腕を組み、外を眺める彼。
そんな彼を横目に近くにあった救急箱を手に持って椅子に座った。
一人で消毒をし、バンソウコウを張って元の位置に救急箱を戻す。


「あの…ありがとう。えーと」

「凌。尾崎凌」

「あっ、ありがとう!尾崎くん!……じゃっ!!」


なるべく不良な尾崎くんとは一緒に居たくなかったから、お礼だけ言ってさっさと保健室から出ようとした。


「待てよ…」