「リーマンさん、ですか？」
おずおずとあたしは尋ねた。

男性が、驚いたような顔であたしを見る。
そして怪訝そうな顔に変わり。
席を立ち上がって。
そそくさと店を出て行こうとした。

思わずあたしは、その腕を掴んだ。
「ハヤトが、死にました。」

その言葉で、男性は動きを止めた。
そしてゆっくりと、あたしを振り返り。
「ハヤトくんが、死んだ？」
そう呟いて。
呆然とした顔で、そのまま立ちすくんだ。

「とりあえず座りませんか？あたしはただ、ハヤトのことが知りたいだけなんです。」
その言葉に。
リーマンさんは我に返ったように、あたしを見て、ため息をついてから、席に座り込んだ。

あたしも腰を下ろす。
しばらくそのまま目を合わせることもなく、ふたりともうつむいていた。