ネットカフェ○×は、すぐに見つかった。

大通りから少し奥に入った、小さなお店。
電球蛍光灯が周りについた明るい看板が、すぐにそれだと教えてくれる。

恐る恐る手動ドアを開けると。
「いらっしゃいませ~。」
そんな声に、受付のほうを見れば。
携帯の写メに、ハヤトと一緒に映っていた。
四十代くらいの男性が、少し疲れているようなやつれた顔で、そこに立っていた。

あたしが受付に近づくと。
「すみません、うちは十八歳未満の方のひとりでのご利用は。保護者の方と一緒に来てもらえますか?」
「いえ、あの、ここのお店の店長さんですか?」
あたしがおずおずと言葉を発すると。
店長さんは驚いたように。
「はぁ、そうですが、君は?」
「ハヤトの、いえ、ハヤトくんの幼なじみで、今、お葬式からの帰りで、ここに寄ってみたんです。」
「ふぅ~。そうですか。」
ため息交じりの声で、店長さんはうつむいた。
そしてポツリポツリと。
「僕も、あいつの葬式には行きたかったんですよ。でもあいにく今日は仕事でね。あいつ専用の座席を予約済みにして、花を飾るくらいしか。こんなことになるなら、店には出入り禁止にすれば良かったと後悔しているんですよ。」
そう言いいながら、店長さんの頬に一筋の涙が流れた。

あたしは年配の男性が泣いた姿を、初めて近くで見た。