「お嬢様?」 思いふけっていたあたしの胸中を見透かしたように、タイミングよく声が掛かる。 麗にはきっと何も適わないんだろうと本能的に悟った。 「何でもないよ。ただ、麗が執事になった理由を考えてただけっ」 もやもやを打ち消すように、満面の笑みを見せ、麗の淹れてくれた紅茶を飲んだ。 丁度いい濃さのローズティーに、さすが執事さま…と感心していると、麗が不意に納得したように「そうですね」と口にした。