麗が執事になって、まだ2週間。

だけど、分かったことがたくさんある。


麗はイタリア人の父が居て、蒼い瞳は父に似たそうだが、本人は特に気に入っているわけでもないらしい。

文武両道、執事教育学部首席。

でも仕えた主人はあたしの前に1年だけ。
期間契約の依頼をこなし、その後はお父様に声を掛けられるまでずっとイタリアに帰っていた。


他人を惹きつける容姿
恵まれた環境
他者より秀でた頭脳


すべてを持ちながら、ただの一使用人としてあたしの元へ来た。


…そんな大したお嬢様でもないのにな…


思わず心の中でそう呟いてしまう程、麗はすべてにおいて完璧だと思う。