ぼんやりとした瞳に浮かぶのは、誰かの腕に包まれるあたし。

漆黒の中に、優しく蒼い輝きが揺れる。


見覚えのある色彩に、いっきに意識が覚醒する。

「れっ、麗!?」

ベッドで寝かけていたあたしの側に、いつの間にか隣に居た麗が驚いたような顔をした。

「寝ていらっしゃると思ったので、ウォークマンの電源を…」

「えっ、あ…そう」


誰かの腕に、抱き締められたような気がしたんだけど。

寝ぼけてたからかな…


イヤホンを外され、麗の指に丁寧に巻かれて束ねられていくコードを見つめていると、窓から小雨が降っているのが見えた。