「あれ…、不登校のお嬢様じゃん」
「まじっ!?」
「中学のとき隣のクラスでさぁー。まじ金持ちだから、みんなに奢ったりして友達つくってんだよ。サイテーだよねー」
あたしに聞こえるように大きな声で喋る彼女。
そんなこと、してないのに。
「学校行かなくても、お嬢様ならやっぱ許されるんじゃん?」
そんなことない!
そう叫ぼうとしたあたしの前を、漆黒の景色が塞いだ。
「お嬢様方、偏見はお止めください。ユウお嬢様は学校に通う時間もないほどお忙しい方なのです」
艶やかな声と、丁寧な物腰。
視界に広がる燕尾服に、あたしは高鳴る鼓動が聞こえたのがわかった。
麗だ。