あたしが理由を問いただすと、瑞穂はさらに肩をがっくりさせながら教えてくれた。





「なんかね、香住君、留学希望らしいんだ」



「留学?」



「うん、大学に入ったら、すぐにでもアメリカに行きたいんだって。
だから進路も、交換留学制度がある大学に決めたんだって」





交換留学制度−−
そういえば、前に耀太に聞いたことがある。
大学の中には、海外の大学と姉妹提携を結んでる所があって、向こうの大学で取得した単位がそのままこちらの単位として採用される制度があるって。
つまり、留学中でも休学扱いにはならないってことらしい。




まさかそれを1回生の内から利用したいだなんて。
可愛い顔してなんて見上げた根性してるんだ、香住君とやらは。





「それ、本人から聞いたの?」



「ううん。本人が別の人と話してるのを盗み聞きしたの」





さらりとスゴイことを言った瑞穂だけど、本人はそれさえも気にしてないようで、完全にクッションへと顔を埋めてしまった。




相手がアメリカに留学。
そんな試練が瑞穂に待っていようとは………




もしかして今日予備校に行きたがらなかったのもそのせいかも?とは思ったけれど、そこは追及しないでおいた。





「コクってもさ、相手が外国に行っちゃったら、意味なくない?」





それはそうかもしれないけど………




あたしの場合は玉砕前提の告白だしな。
逆に相手が海外に逃亡してくれた方が、さらに自分の復活が早くなる気さえするし。




でも瑞穂は、未来ある告白をするんだよね。
ってことは、留学を理由にフラれるのも、もしかしたらOKでも、どちらにしても瑞穂にとってはツライ話になるかもしれない。





そう思うと、なんとも答えようがなかった。







´