なんとか2人で沼底に沈み込むのは回避できてほっとしてると、そういえば、と瑞穂が何か思い付いた口ぶりであたしを見つめた。






「ようちゃんって、アタルに似てるよね〜?」






「…………」






はっ??
何を突然………






「CM見てて思ったんだけどさ……、な〜んか似てるのよ。雰囲気とか、笑った時の顔とか……」






時折思い出す仕草をしながら、瑞穂はうんうんと頷いた。






耀太とアタルが!?
ないないないない……、それはない!

今をときめく人気俳優に向かって、なんて失礼発言を……
ファンが聞いたら泣くぞ!

って思ったけど、ファンの瑞穂が言うんだからどうしようもない。


あたしが思うに、あんなに視力の良さを豪語していた瑞穂も、最近の親子喧嘩で意識が朦朧として、急降下してるんじゃないだろうか。







「瑞穂さ、進路に悩みすぎて、体にだいぶん負担かかってんじゃない?
目とか、霞んでるんじゃ…」






「言っとくけど、視力と体力だけは誰にも負けない自信あるから!
絶対、アタルとようちゃんは似てるって!」






あたしの言葉を遮って息巻く瑞穂。
その声がデカイったらありゃしない。





「なになに、アタルがどうしたの?」






おかげで、隣で違う話題で盛り上がっていた園子と明日香まで話に割り込んできた、と思ったら…






さすが女子高生に絶大な人気を誇る俳優。
アタルと聞いただけで、どんどん食いついてくる、食いついてくる。






気づけば、違うグループの子達まで興味深々って顔で周りを囲んでいた。







「アタルの話?あたしも入れて〜」






もうっ、好きにして……







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