正直な気持ちを言ったのに、瑞穂の表情をまだ浮かないままだ。






この時期になると、にわかに周りが自分の将来について悩みだす。






再来週から、“進路相談”と名目されたニ者面談が始まるから。






2年の時までは、『〇〇目指してます』って軽く担任に言えたけど、今年はそうは問屋が卸さない。



っつうか、実際に来年の今頃、自分が何をしているのかを、ぼんやりにでも考えなきゃいけない時期だと気づいて、誰もがブルーになっているって感じ。






かくいうあたしだって、一応想像してみたけど、ぼんやりどころか、なにひとつ浮かばなかった。







「夢もないあたしには、きっとこうやって、なんとな〜く進学して、なんとな〜く就職して、なんとな〜く結婚して……って将来しか用意されてないんじゃないかな……?」






言ってて虚しいけど。





今のところ、大人になった自分なんて、全く想像できもん。






「夢があったって、叶わなきゃ意味ないんだよ……?
しかも現実を見ろってうるさい親が近くに居たら、それを夢見る暇さえ許されないんだから……」






そう嘆く瑞穂は、予備校なんて行きたくないよ〜と、机に突っ伏した。






『受験の為の予備校』



最近イヤでも耳に入ってくるキーワードに、あたしも軽く目眩を覚えた。






そもそもこのクラスは、勉強に関しては見事なまでに壊滅的な生徒が集まっている。
あたしや瑞穂も、追試・補講なんて、当たり前に常連だ。






『進学希望です』と言うのも、はばかられるくらいに。






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