やる気になってるって言ってたのは嘘じゃないんだね?
少しだけ見直した、かも。
「楓的には、桐島をひと言で言い表すなら、何?」
こっちを向き直った耀太は、何か思い詰めた顔をしてあたしを見つめた。
ヒロキをひと言で?
そんなの………
「ムードメーカー」
に決まってんじゃん。
「だよなぁ……、西村先生も、ひと言目にはそう書いてた」
そう言われてみれば、最初にヒロキに『このクラスのムードメーカーだね』って言ったの、たしかにっし〜だったような……
「今日見ててさ、そんな感じ全然しなかったんだよなぁ……
どっちかって言ったら、教師に対して悪意を持ってるっていうか……」
………あっ!
教室の後ろで腕組してドアを睨んでいたヒロキの顔を思い出して、あたしは咄嗟に口走っていた。
「あのさっ!多分、受験生になったから、進路のこととかで色々悩んでんじゃないの?
普段は明るい奴だから、今に元に戻るって」
まさか新任の耀太に不信感を募らせてるなんて、言えるわけないし。
こう見えて色々悩んでるみたいだし、ここは黙っておいた方がいいよね。
「………う〜ん…、そうだよな?今からそういうのって多いよな?
時間取らせて悪かったな。
さて、帰るか……」
すっきりしたのかしてないのかわかんないけど、微妙に笑顔を浮かべて歩いて行く耀太の後を、てくてく着いて行く。
明日あたり、ヒロキにはあたしから話しをしてみようと思いながら……
『新しい担任は、それなりに努力してるんじゃないかな』って。
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