「あの、本当に今急いでるんで…」
「そんなこと言わないでさぁ、
ちょっとだけだから♪
ねっ、ねっ?」
いい加減私も疲れてきて、無視して行こうとしたその時。
「おい、真太郎(シンタロウ)!!
何勝手に行ってんだよ。
その子見つけたの俺が
先だかんな!!」
後ろから妙に聞き慣れた声がして、私は振り返った。
「違うって!
俺はお前のために
この子捕まえといて
あげたんだって♪」
「本当かよ?
お前いっつも俺が
選んだ子横取りする
くせに………」
彼と私の目があった。
二人の間の空気が止まる。
「未来…………?」
「拓実……」
名前を呼ばれた瞬間蘇る。
4年前のあの記憶。
あぁ、どうして…
よりによってなんで…
なんで私の初めてナンパされた相手が…
初めてのナンパの相手が
元カレなんだろう…。