〔俺はもう、野球を捨てたんだよ!〕
あぁ、いつかの俺の姿だな………
─────スッ─────
頭に、何かあたる。
それは、座高も腕もいっぱいいっぱいに伸ばして、
なんとか俺の頭をなでようとしている夏奈の手だった。
少し伸びた栗色の髪を、
夏奈がとかしていく。
「………捨てきれないよね。
やっぱ、思いを込めてプレーしていたグラウンドや、道具や、気持ちは、
捨てきれないよね。」
涙目になる夏奈。
なにも映画でこんなに浸らなくても……と思ったけど、
こんなに本気で俺と接する奴は、きっとこいつしかいない。
─────チュ─────
つい、いとおしくて、
キスをした。
好きだよ。
愛している。
これからも、ずっと───