コンコンッ




「はい?」


先生の声……。




「失礼します…。」



「瀬戸!?」


驚いてる。



「あの、上着…ありがとうございました。」



「よく…分かったな。俺のだって。」


「はい…いつも、見てましたから。」




「見てた?……過去形なんだ?」




胸が傷んだ。






私だって、過去形なんかにしたくない。




「そう言う事なんで…失礼しました。」



これ以上ここに居たらダメだ…。





私を呼ぶ先生の声を無視して部屋を出た。