ご飯はスペイン料理で、特にパエリアは絶品だった。



この味、絶対マスターしたい。



「俊さん、料理作ってる人って会えますか?」



「ん?あぁ、樋川!」



『ひかわ』と呼ばれたコックが私の前に現れる。



「坊ちゃん、なにか御用でも。」



「用があんのはあのデカイ女だよ。」



俊さんが私を指差す。



デカイ女って…確かに、170センチ近いけど。



樋川さんが私に向く。



「どうかなされましたか?」



樋川さんの優しい声。



目は笑ってないけど。



切れ長のその瞳は、かなりギラギラとしていた。