日曜日、菜束は携帯のメール受信音で目が覚めた。
「姉ちゃん、鳴ってるよ」
「うーん…」
菜束は携帯を開いて送信者を確かめる。
小玲夏実
と表示されている。
「…お姉ちゃん」
本当は、少し悪いこと言っ
たって分かってる。
菜束のせいでも何でも無い
。
でも、この前言った通り、
私はもう一生家には帰らな
いつもり。
ママには、あんたのお母さ
んには言わないで。
私は大丈夫だから。
夏実
「…」
「姉ちゃん?メール見てそんなに深刻そうな顔しないでくれる?」
「どうしよう…」
夏実が大丈夫なんかじゃないこと、菜束だって知っている。
菜束は返信することに決めた。
お姉ちゃんが本心からそう
したいなら、私は何も言え
ません。でも、お母さんは
違うと思います。
お母さんは、どんな道にせ
よ、お姉ちゃんより恋をし
て、愛を知ってるんだって
、私はそう信じてます。
だから、もう一度だけ、も
う一度だけでいいから、一
人でお母さんに自分の気持
ちを伝えてほしい。
そう思います。
偉そうなこと言ってごめん
なさい。長くなってごめん
なさい。
菜束