「……そうか」



その後、車の中では瑠夏くんの寝息だけが聞こえた。


そして、学校の前ぐらいまできた。



「お前の家どこ?」

「あ、そこのコンビニでいいです」

「遅くなったから、ちゃんと家まで送る
案内しろ」

「いや、本当にコンビニでいいですから
そこから、かなり近いですし
それに、ちょっと雑誌を見たいんで……(汗)」



だんだん、変な汗が出てきた。



「……わかった」



松崎さんは渋々コンビニであたしを下ろした。



「今日はありがとうございました」

「瑠夏が行きたいって、いったんだから
こっちこそありがとな」



松崎さんは少しはにかんで言った。



「っ////
そ、それじゃっ
また明日、店で……っ」

「あっ、ちょっと待て」



松崎さんはゴソゴソとポケットをあさっていた。



「おい、手出せ」

「え?」

「いいから」

「は、はいっ」



あたしは、松崎さんの手の下に両手を出した。



「これ……、今日のお詫びだ」

「えっ……?」



あたしの手の上には、イルカのキーホルダーがのっていた。