「あー、桜ちゃんらしいわね」


そう言って笑っていた。



瑞希さん……笑い事じゃないよ……。

あっ、桜ちゃんって言うのはあたしのお母さんの名前。
山本桜(ヤマモトサクラ)。



「笑い事じゃありませんよ!!
しかも、寮なんですよ!!」

「いいじゃない、いい男がいるかもしれないじゃん!
もっと、ポジティブにいこうよ」



あ、そっか、いい男探しと思ったら良いんだ……って、思えるわけあるか!!



「だから、髪切りにきたんですけど、あたしに似合う髪形ってありますか?
もちろん男の……」

「そうねぇ……」


と呟きながら雑誌をペラペラめくっている。



「こんな感じのやつが似合うんじゃない?」


瑞希さんの視線をたどってみると……ちょっと長めの髪型だ。



「まぁ、梓ちゃんなら、何でも似合うんじゃない?」

「はははっ……、そんなお世辞はいいですよ……」

「(相変わらず、鈍感ねぇ)」

「とりあえず、これでお願いします」

「はーい」



どんどん下にあたしの長かった髪が落ちていく。

あぁ……、さらば…あたしの髪…。