草のにおいってとてもいいにおいなのね。
幸せにずっと浸っていたいと思ったけど、もうそれほど時間は無いみたい。
元々ぼろぼろだった体に加えてさっき何回も階段から転げ落ちたから、体の外も内もぼろぼろみたい。
こんな姿誰にも見せたくないな。
なんてこと考えていたら足音が聞こえてきたの。

 “お母さんうさぎさんが居るよ、とっても可愛いの”

そりゃ私が可愛いのなんて当たり前でしょう?
そうこう思っている内に、逃げる力なんてない私は彼女にやすやすと持ち上げられたの。
私の計画がこんなにうまく行くなんて思わなかった。
私の計画はこのウイルスを誰かに移すこと。
すくなくても私がこの世にいたことの証明にはなるわ。
なんて馬鹿なうさぎなのかしらってあなたは思うでしょうね。
でも私にはこれしか思いつかなかったの。
そして私の命の灯火はもうすぐで消えてしまうみたい。
さっきまで意識が飛びそうなくらい痛かった体も今はどこも痛くないから。
でもね、薄れゆく意識のなかで思ったの。
この子に私と同じ苦しみを与えるのは可愛そうだわって。
本当に私馬鹿みたいね。


*終わり*
→この話はフィクションです。