おじさんが、泣き崩れるおばさんをしっかりと抱き締めていた。


わたしは、後ろに突っ立っていた健ちゃんを、すがる思いで見つめた。


健ちゃんと、目が合う。


わたしは、静奈の唇を指差した。


静奈は、何と言っていたのだろうか。


すると、健ちゃんがわたしの前に立ち、


「何て言ったか、知りたいのか?」


と訊いてきた。


わたしは迷わずに頷いた。


健ちゃんは苦しそうな顔で、悔しそうに唇を動かした。


「私が」


重たそうに動く健ちゃんの唇を読んで、さっき静奈が言ったという言葉を知った。


その瞬間に、頭の中がくらくらした。


「私が、順也を殺した」


わたしの頭にマグマのような血が上っていた。


わたしは、静奈のシャープな頬を両手で挟むように、強く叩いた。


〈死んでない〉


静奈がうつろな目をハッとさせて、わたしの両手をじっと見つめた。


〈順也は、生きてる〉