あめあめ、ふれふれ、を。


だから、わたしは知っている。


雨は、ピチピチ、チャプチャプ、という音なのだと。


星がきれいな夜は、わざわざ、わたしの家に来て歌ってくれた。


きらきらぼし。


だから、順也の両手はわたしにとってのCDだった。


たまに間違えると、また最初から手話で歌い直してくれた。


そんな負けず嫌いの順也が、やわなわけがないのだ。


今夜は、星がきれいだ。


わたしは、フロントガラスの向こうに広がる夜空を見つめながら、きらきらぼしを歌った。


たぶん、相当、間違えていた。


でも、幼い頃、順也が歌ってくれたのを思い出しながら、わたしは歌い続けた。


順也。


もう一度、一緒に、この夜空を歌おうよ。


どうして、小学生のまま、無邪気なままでいられないのだろう。


どうして人は、大人にならなければいけないのだろう。


どうして人は、幸せを永続きさせることができないのだろう。


どうして……わたしの耳は、僅かな音すら拾う事ができないのだろう。