わたしと健ちゃんと、亘さんと汐莉さんのちょうど中間あたりで、順也が静奈に追い付いた。
音も字幕もない映画のワンシーンを観ているようだった。
順也が、静奈の腕を掴んだ。
ふと、見上げてみると、健ちゃんの唇が動いた。
「順也も、冷静じゃなくなる時があるんだな」
確かに、いつも穏やかな順也が珍しく余裕をなくしている。
ふたりは、お互いに何かを叫び合って、腕を掴んだり振りほどいたり、押し飛ばしたりを繰り返している。
順也と静奈のケンカを見たのは、初めてだ。
向こうの歩道橋のさらに向こうに、眩しい光が見えた。
大きな光がふたつと、回りにも幾つか小さな光が見える。
その光に少しだけ照された時、順也と静奈の顔が見えた。
ふたりとも、ひどい顔をしていた。
やっぱり、尋常じゃないと思った。
怖かった。
凄まじく乱気になっているふたりを見て、止めなきゃ、とわたしは反射的に駆け出していた。
音も字幕もない映画のワンシーンを観ているようだった。
順也が、静奈の腕を掴んだ。
ふと、見上げてみると、健ちゃんの唇が動いた。
「順也も、冷静じゃなくなる時があるんだな」
確かに、いつも穏やかな順也が珍しく余裕をなくしている。
ふたりは、お互いに何かを叫び合って、腕を掴んだり振りほどいたり、押し飛ばしたりを繰り返している。
順也と静奈のケンカを見たのは、初めてだ。
向こうの歩道橋のさらに向こうに、眩しい光が見えた。
大きな光がふたつと、回りにも幾つか小さな光が見える。
その光に少しだけ照された時、順也と静奈の顔が見えた。
ふたりとも、ひどい顔をしていた。
やっぱり、尋常じゃないと思った。
怖かった。
凄まじく乱気になっているふたりを見て、止めなきゃ、とわたしは反射的に駆け出していた。