雪兎は少し笑って、強く手を握った。
大丈夫、そう必死に言い聞かせた。
…それでも嫌な予感はハズれることはなかった。
「…っ、あああ…やだっ」
突然聞こえた卑猥な声。
それは暗闇の中で小さく聞こえた。
でも、それは過去の自分と重なった。
「ゆき?」
「は、早くいこ」
逃げるようにその場を離れた。
過去は過去として、なんて安易に考えられないよ。
やっぱり怖い。
「ゆき、大丈夫?」
「うん…」
「忘れてしまえばいい」
人目を気にすることなく私を、抱きしめた。
大丈夫だよって何度も言ってくれた。
もう大丈夫って言ったら、チュッと唇が重なった。