彼女の後ろ姿を複雑な思いで見送った。




実はあの日…


「キミはゆきを愛しているかい?」


「はい」


「ならば、ゆきを私の元へ返してもらおう。さもなけば、彼女の命はないよ」


「俺が守りますから」


「本当に守れるのか?ゆきの過去を知っているかい?」



過去…ってなんだ?
俺は何も知らない。
少し悲しくなった。
結局まだ、何も知らない。
それで守れるんだろうか。




「きっと、キミを信じてないんでは?残念だなあ。どうするかい?」


それが彼女のためなら…俺は自らゆきの手を離した。