「兼次様であろう御方が何故こんな所にいらしたのですか…?」


向けられた瞳はまた寂しそうに感じた


「この畔には言い伝えがあると聞いてね…」


満月が水面に歪んで写る池を見つめる

そう、この畔には言い伝えがあった


――宵の月、この畔から池を覗くと運命の人が写る――