「お、お許しください…お許しください…」


腰に提げた刀を今にも抜き、切られてもおかしくない状況下

アタシの身体は有り得ない程、震えが治まっていた


この侍の匂いのせいだろうか…



「震えておらぬが…お前は私が怖いのか?怖くないのか?」


寒さで触れられた右頬が侍の体温で温かくなるのが分かった


「分かりません…」


細める眼が余りにも澄んでいて、直視出来ずに逸らしてしまう

しかし、侍のその眼は逸らしても残像になり頭から離れなかった