「何者だお前は!」


振り下ろす寸前でアタシは何十人といる民衆をかき分け、騒ぎの中心へやってきた


「兼次様はあの夜、アタシが出し抜いたのです!」



「兼次様は何も悪くありません」と兼次様に突き立てられた剣の前へ立つ


「なんだと?」


眉間に皺を寄せる殿様


「月羽、お前何を…」


「たまたま通り掛かったお二人を歩けなくなったとアタシが出し抜き…」


震える身体、声…


「お侍様を殺し、兼次様をも殺そうと…」


兼次様の表情は後向きで見えないけれど

きっと悲しい顔をしているのでしょうね…


「死ぬのは兼次様ではなくアタシです!」