何事もなかったかのように日は流れ、真冬の大雪の朝


「てぇへんだ、てぇへんだ!お前さんら聞いたか?」


朝食の準備を慌ただしくする母の手伝いをしていた所に

勢い良く飛び込んできた隣のおやじさんは血相をかいていた


「何があったんだ?」


その慌てっぷりに、家族一同がただ事ではないと息を飲んだ


「直江兼次様が討ち首の刑だと!」


「兼次様が…」


持っていたお皿が床に落ち真っ二つに割れた


「なんでも、宵の口に平民の女と会っていたらしいんだよ…」