「 上がり症なの? 」

隣からそんな声がしたのは、 自己紹介を終えた後の休み時間。 綾瀬楓が女子軍団を纏いながら、 聞いて来た。 もう…話しかけないでよー…。 一斉に睨んで来た女子が怖くて、 縮こまりながら心の中で呟く。
「 っ…、」
何も言えずに黙り込むあたしを見兼ねて、 取り巻きがあっち行こうと綾瀬楓を引っ張って促した。 たすかったぁ…。 小さくため息を漏らして、 引っ張られて半ば強引に連れていかれた綾瀬楓の後ろ姿を見つめる。
本当は…可愛くありがとう、 てお礼言いたかったけど…。
あたしにはそんな事、 到底出来っこなかった。 言ってしまったらきっと、 迷惑がかかる…。 それにあたしも、 傷つきたくないし…。