この大通りも、普段通りの賑わいを見せ始めた頃、僅かながらも行列の出来たファミーユ。
その扉の前に掛けられた、準備中の札が営業中へと姿を変えた。
「ようこそ、ファミーユ第4号店へ。只今から開店致します」
店員だろう、長い金髪のツインテールのウェイトレスが、澄んだ声で清楚な笑顔と共に開店の挨拶を短く終える。
そこの制服は、どうやらメイド服に近い物で、さらに下が少々短めの作りだ。
「……さて、叶君と晴人君の店とは」
うららかな陽気と共に桜舞うこの季節に、コートにマスクとサングラスという、如何にもな風貌をした男が列に遅れて、後に続く。