叶たちが楽しそうに、わいわい騒いでいるフロアを眺める事の出来る、ショーケースの裏側。キッチンでは……。


「でも、晴人大丈夫かなぁ。お姉ちゃんは心配だよぉ」

「大丈夫さぁ、晴人君は熱で死ぬほどやわやないて」


「そうだけどぉ…。ね、今日だけお休みもらえない?」


「晴人君死んではるし、きよさんは夕方からやから、キッチン回らんでしょ…」


「うぅ……、鬼」


「余裕が出来たら、少し様子見てくるだけなら平気やから。それまで頑張ってください」


弟のたかが熱に嘆く、パティシエールの神崎 裕美 (カンザキ ユミ)と、それを宥めるシェフの橘 純一 (タチバナ ジュンイチ)。

2人ともここのキッチン要員で、裕美は本店から、純一は3号店から引っ張り込まれた。


さて、先ほどから店長、ハル君、晴人、晴人君などと呼ばれている今回の件の張本人はというと……。