「またのご来店、お待ちしています」
智さんが最後のお客様を送り出し、第4号店の初営業日は無事に終了した。
「ん゙~、やっと終わったぁ」
「おやおや、若はずいぶん、お疲れの様ですね」
テキパキとキッチンの片付けを始めるきよさん。
名のあるシェフなのだが、なぜか本店開設時からファミーユに居る、謎の多いおじさん。
「さすがに初開店だと気合い入りますよ」
「旦那様の時も同じような事を仰っていましたよ。お身体には十分気を配って下さい」
そして、俺を若、オーナーを旦那様と呼ぶ。
「きよさんは、こっち来ても変わらないですね」
「一応、“キャリア”というものは培っていますから。それに私は若が成長するまで、若の補佐でこちらに居ますので、助力いたしますよ」
なんとも頼もしい人だ。