シャワーを終えた秀樹が休息室に入ると、すでにソファに陣取っていた武人に睨み付けられた

「お前が来ねぇから俺だけ怒られたじゃねぇか!」

「そうか。悪かったな」

「なんだよその棒読み!思ってねぇだろ」

「社交辞令ってヤツだな、受け取れ」

「いるかっ!」

散々大声を出した武人は、肩で息をしたままソファに沈み込んだ。秀樹も近くの椅子に腰掛ける。重たくもない沈黙が二人の間を流れていった












「・・・・・・なぁ、覚えてるか?」

唐突に呟く武人に、秀樹は顔をしかめて視線を送った

「明日で、俺がここに来てからちょうど三年なんだぜ♪」

そう言う武人の顔には、子供のような笑顔が浮かんでいる

「・・・・もうそんなか」

背を向けて話す武人には、秀樹の表情が見えるはずもない

「早いよな〜時間経つのって。あの頃は俺高校生だったし・・って、それはお前もだけどさ」

振り向いて、けれども秀樹を見た途端に一瞬でその表情が崩れた

「ち、違うんだぞ!今が嫌だとかそんなんじゃなくてだな。あの・・その・・・・」

必死で弁解しようとするも言葉にならず、だんだん声が小さくなっていく武人。その様子を見ていた秀樹の顔が、ほんの少しだけゆるんだ。全身を使って表現しようとしていた武人も、不意に動きを止めた

「・・どうした?」

「あ、いや・・お前が笑うの、久々だなって。ほら、最近しかめっ面ばっかだったろ?」

頬を掻きながら少し照れ臭そうに笑う武人。秀樹はそんな様子に、今まで幾度となく繰り返した後悔を浮かべた