秀樹が客間に近づくと、扉の前にいた監視員らしき男達が動きを止めた。秀樹は眉をひそめながらもそれ以上反応しなかった

「捕獲してきた奴はここか?」

「はい。しかし、許可なく入られては・・」

「レティからの命だ。後で確認にでも行ってこい」

「し、承知いたしました!」

目に恐怖を宿した監視員達を見ることなく、秀樹は中へと足を踏み入れた

「だ、誰っ?!」

中にいたのは二十歳前後の若い女性だった。怯えを含んでいた瞳は、秀樹を捉えると恐怖へと変わっていった

「あ、あなた・・・・!」

「・・・鬼憑き、だな」

「ひっ――!!」












秀樹が客間から出てくると、監視員達の視線が集まった

「・・・おい、お前」

「は、はい!」

話しかけられた若い監視員は、可哀想なくらい固まった。どうにか返事を返している監視員に続けた

「レティに連絡しておいてくれ。『鬼憑きだった。後始末を頼む』と』」

「了解しました!」

「あぁ、それと」



すれ違い様にそう言った秀樹は



「もう監視は必要ない」



冷たい目と数滴の赤い雫を残していなくなった